かつては、社員を増やして会社を大きくすることが、経営者にとって一つの成功の形でした。社員数やオフィスの広さが、そのまま会社の成長を表す指標として見られていた時代です。
しかし、今は必ずしもそうではありません。
少人数でも、テクノロジーを活用しながら大きな成果を生み出せるようになりました。これから重要になるのは、社員を増やすことではなく、少数でも事業が回る仕組みをつくることです。
人ではなく、テクノロジーを軸に仕組みをつくる
人を軸に業務を組み立てると、仕事が増えるたびに新たな人材が必要になります。
一方、プログラムやAIを軸に仕組みをつくれば、業務量が増えても、必ずしも同じ割合で人員を増やす必要はありません。
たとえば、これまで営業担当者が行っていた活動の一部は、次のような流れで自動化できます。
SEOや広告で見込み客を集める
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ランディングページでリードを獲得する
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ステップメールで情報を届ける
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商品の販売から決済までをオンラインで完結させる
この仕組みに必要なのは、自社メディア、ランディングページ、商品、そしてコピーライティングの技術です。一度仕組みを構築すれば、1人でも運用・改善が可能です。
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もちろん、高額商材の提案や、顧客との関係構築が成果を左右するルートセールスなど、人が担当するからこそ価値が生まれる仕事もあります。しかし、それ以外の営業活動まで人海戦術で行う必要性は、以前よりも小さくなっています。
雇用には、給与以外のコストもかかる
定型的な作業の多くも、プログラムやAIに置き換えられるようになりました。
システムを導入すれば、サーバーやWebサービス、AIサービスなどの利用料が発生します。それでも、業務によっては人を一人雇用するより、はるかに低いコストで運用できます。
雇用にかかる費用は、給与や社会保険料、福利厚生など、目に見えるものだけではありません。
採用、教育、オフィス、備品、労務管理、社内規則、退職手続き、法務対応など、その周辺にはさまざまな間接コストが存在します。
組織が大きくなれば、社員を管理する人や、人事・経理・総務といった間接部門の人員も必要になります。
つまり、多くの会社は「人が増えると、その人たちを支えるために、さらに人が必要になる」という構造を持っているのです。そこまで含めて考える必要があるのが、本当の雇用コストです。
社員を仕組みとして扱ってはいけない
人を中心に業務を組み立てると、高コスト体質になりやすいだけでなく、ヒューマンエラーや属人化、人間関係のトラブルといった問題も起こります。
何より、社員は機械やシステムのように、いつでも同じ状態で動く存在ではありません。
体調や感情があり、生活があり、それぞれ異なる価値観を持っています。人に「仕組み」の役割まで背負わせようとすれば、経営者にも社員にも無理が生じます。
だからこそ、仕組みにできる仕事はテクノロジーに任せ、人にしかできない仕事に人の力を使うべきです。
「社員は家族」の時代から、適切な距離を保つ組織へ
多くの社員を抱え、「社員は家族」という考え方で会社を率いてきた先代の経営者たちは、本当にすごいと思います。会社と社員が強く結びつき、ともに成長することを信じられた時代だからこそ、成立していた経営でもあるのでしょう。
しかし、現在は働く人の価値観も変化しています。
会社との一体感よりも、柔軟な働き方や私生活とのバランス、個人としての自立を重視する人が増えました。経営者だけが以前と同じ熱量や関係性を求めても、組織はうまく機能しません。
一方で、人々の価値観が変わるのと同じタイミングで、プログラミングやAIなどのテクノロジーも進化しています。私はこれを、「今こそ組織のあり方を見直しなさい」という時代からのメッセージだと捉えています。
抱えるものを増やさない経営
少人数のスマートな組織は、経営者にとっても魅力的です。
固定費を抑えられるため利益を残しやすくなり、管理業務や人間関係の問題を過剰に抱えずに済みます。その分、商品づくりや顧客への価値提供など、本来向き合うべき仕事に集中できます。
会社の規模を大きくすることだけが、成長ではありません。少ない人数で無理なく運営しながら、質の高い商品やサービスを提供し、十分な利益を残す。それも、現代における立派な成長の形です。
人を増やす前に、仕組みで解決できないかを考える。仕組みにできるものはテクノロジーに任せ、人にしかできないことを人が担う。
これからの会社には、そのような組織設計が求められるのではないでしょうか。
抱えるものは、少ないほうがいい。
少なくとも私は、そう考えています。