人は機械になり、機械は人になる。

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これからは「人は機械に近づき、機械は人に近づいていく時代」と思っています。というか、すでにそれは前から進んでいます。人間の機械化はおそらく資本主義経済の合理化が影響しているわけですね。だから、100年以上前から始まっている。

合理化するにはルールの中で人が動く必要があります。ルールが正義、反することは悪というのが基本的な教義です。

ルールは年を経るごとに次第に細かく制定されていきます。「こうしていこう」ではなく、「あれをやってはいけない、これもやってはいけない」というのが暗黙の了解の中で増えていく。ルールが細かくなった分 制限が増えるので、自主的な行動の割合が減り、制限内の行動の割合が増えるのです。

それが人間が機械化する構造です。今ではまるでロボットのような振る舞い、言動をする人と出会うことが普通になってきました。人間臭い振る舞いをする人は、逆に浮いてしまうのです。程度の差はあれ、日本だけの話ではなく先進国ならどこでも同じです。

人の機械化のスピードは、多くの人は意識できないレベルでゆっくりと進んでいってます。だから、気づきにくい。でも、タイムマシンで20年前の人が現代に来たら、あまりに整備された現代の常識におそらく驚くはずです。

では、人とAiはどういう方向に進んでいるのか。

人間のマニュアル化

人が進まざるを得ない方向 機械の目指す方向
ルール 従うもの 考えるもの
応用 不可 対応可能
創造性 乏しくなっていく 模索していく
感情 出さない&読めない 知ろうとする

ただ、いかに人がロボットに近づきたくてもロボットにはなりきれません。人間には感情があるからです。ロボットっぽい人でも感情はある。喜んだり傷ついたりする。行動は感情に左右されるので、いかにロボット的に生きようとしても無理が生じます。本当の自分との乖離が起きます。

本音との乖離が大きくなれば、自分自身で本音がわからなくなる。ということは、自身で解決することが困難になるので、自覚がないまま魂は悲鳴をあげるし、助けを求めるようになる。

ただ、助けや救いがないと悟ってしまった場合、自分を傷つけるか他者を攻撃することになる。近年世界中の先進国で頻発しているジョーカー的な個人テロはより身近なものになっていくでしょう。

人間の暴発を抑えるために、ルールで厳しく制限するという安直な解決策に社会が動けば、単に別の見えないところ(家庭内など)で小さな暴発を増やすだけでしょう。

機械もそうです。機械は合理化の産物なので、いかに感情を会得しようとも無理でしょう。応用もある程度は利くようになるかもしれませんが、計算の範囲内でしか無理なのではないでしょうか。人間のようにクリエイティブなものを創造する力はたぶんないです。それっぽいものはつくれると思うので、それで誤魔化されるんでしょうが。

Aiの社会進出は人間が駒になる形で進む

Aiは全知全能にはなりえないと思います。だから、Aiを社会の広範囲で導入するなら、人間がその規格に合わせていかないといけません。

例えば、自動運転を導入するなら「人間は車道に出ることは違法、車道に入って事故が起きたら自己責任です」みたいな。コンビニ、スーパーでは「アカウントと決済可能残高がない人は入店できない」みたいになるのかもしれません。もしかしたら、チップかフェイスシールドかわからないけど、個人ナンバーやアカウントと紐付けされたものがないと買い物すらできないという未来がくるかもしれません。

Aiの社会進出のために、専用のルールがあらゆるところで施行されるようになります。人はより細かい制限を受け入れることで利便性を獲得する。

この流れは良い悪いもないし、誰であっても止めることはできません。だから受け入れるしかないんですが、問題は個人個人の付き合い方でしょうね。

人間側の取捨選択

自分をマニュアル化していくことで起こる「本音との乖離」をどうするか。一部は能動的に受け入れ、一部は残すといった取捨選択を自覚的に行っていく必要があると思います。盲目的に社会の流れに沿っているだけだと、どんどん人間性を失っていくからです。

人とコミュニケーションがうまくとれない人が増えているのは、周囲の環境ももちろんありますが、根本を探ると周囲も含めてその問題に不自覚だからです。

社会のよき構成員として振る舞おうとする人ほど、人間性を失い、マニュアル人間化している。当然、その自覚はありません。言われても、応用を考えてみたり物事を逆さに見たりできないので、気づくことができません。

ただ、自覚的でさえあれば、意図的に人間性を残すといった取捨選択が可能になります。たぶんこのままいくと、機械の方がずっと融通利くよね、という時代になると思います。いや、もうきているか。

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中田俊行

1982年大阪生まれ。株式会社デザインプラスという会社を経営しています。
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