スティーブ・ジョブズが語った「情熱を持って働くチーム」の作り方

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日本語訳も出ているスティーブ・ジョブズの幻のインタビュー映画「スティーブ・ジョブズ 1995~失われたインタビュー」にこんな一節があります。ちょうど3分ごろからジョブズがチームのあるべき姿を語っているのですが、実におもしろい。

引用しておきますね。

彼は石をいくつか缶に入れ、何かの液体と砂粒を加えた。そして、モーターを動かすと「明日また来い」と言うんだ。缶は激しく音を立てていたよ。翌日彼を訪ね、缶を開けてみると、驚くほど美しく磨かれた石が出てきたんだ。缶に入れた時はありふれた石だったのに。石がこすれ合うことで摩擦や騒音はあるが、それで美しく磨き上がる。

私にとってはこの体験こそが情熱を持って働くチームの象徴なんだ。

ズバ抜けた才能を持つ者が集まって、ぶつかり合い、議論を戦わせ、ケンカして怒鳴り散らす。そうやってお互いに磨き合い、アイデアをも磨き上げて美しい石を創り出す。

この言葉にアップルの製品がどのように生み出されたかを垣間見ることができます。アイデアから生み出されたのではなく、それを最高の職人たちが議論しながら、それぞれの力を出し、摩擦と試行錯誤の中から生み出されたということです。

そして、ジョブズは職人たちにも触れているんですが、核心を突いています。

真に優秀な人というのは、自分が優秀と知っているから褒めてやる必要はない。一番大事なのは仕事の内容だと分かっているんだ。だから、担当するパートを確実に達成することが求められる。

周囲の人間が真に優秀で頼れる人に与え得る重要な助言がある。それは彼らの出来が悪い時、きちんと指摘してやることだ。理由を明確にして説明し、軌道修正を促してやることだ。彼らの能力を疑っているように思わせてはいけない。だが、その仕事に関しては目標に貢献できていないと分からせる必要がある。

本当にデキる人たちはそれが有益だったと言うはずだ。

私もTCDを開発する身として感じていることですが、優秀なクリエイターは自分の能力に揺るぎない自信を持っているのです。だから、メンタルケアをしてあげる必要もなく、「こうしたい」とダイレクトに伝えることは建設的な議論に繋がる。でも、一般的なクリエイターは自分の能力を疑っているので、成果物が指摘されると自分自身が否定された気分になってしまう。そうすると、彼自身が迷いの境地に入り、良い物を作ることから視点がズレてしまうのです。

だから、「情熱を持って働くチーム」を作ることは一筋縄ではいかないことなのですが、それゆえに超え甲斐のある仕事でもあります。

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中田俊行

1982年大阪生まれ。株式会社デザインプラスという会社を経営しています。
WordPressテーマTCDを運営したり、ブログやメルマガを書いたりしてます。

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