組織内のイエスマンをどう活用するか問題

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一般的な組織にはピラミッド状の人間関係があり、各所に管理職やマネージャーと言われる人たちがいます。そして、権力の周りには「イエスマン」たちが集まってくるのが歴史の常です。

イエスマンが組織にどういうメリットをもたらすのかというと、ほとんどないと言えます。事業を起こしたばかりのときやまだ人数が少ないチームではそういう人も手足として使っていかないといけないわけですが、ある程度の規模になってくると害が大きくなりすぎてしまうわけです。

イエスマンと言えど、指示したことをすぐに実行に移す人は一見便利とも言えます。ただ、指示にはない細かい調整ができたり、そこに価値を生むような調整があるかと言えば、ないわけです。その人を介することで単なる調整業務にさえも価値が付いてしまうと。そういうはイエスマンではなく、クリエイティブ寄りです。

だけど、そういうことでもない場合はやはり使い所が限られます。あくまでも小間使いにするしかないわけです。なぜなら、イエスマンに権利や力を与えると困ったことになるからです。虎の威を借りる人もいますし、身の回りに起きるネガティブな結果に対して無関係の立場をとります。徐々に組織が腐っていく元凶になるわけです。とは言え、イエスマンではない人を探すほうがなかなか難しい世の中でしょう。

イエスマンかクリエイティブな人間かを見分ける方法は表面的にはなかなか難しいのですが、原理を追求する人なのか、そうでない人のかというところは大きいです。イエスマンは基本的に自分がやることに何の疑問も持たないまま実行します。そこに穴がないのか、自分が改善できる点はあるか。内容の裏側にあるものを見ないものです。

一方で、クリエイティブなモードに入っている人は、深く掘り下げる傾向があります。そこが一番見分けやすいところでしょう。掘り下げたところに果実があるのかどうかは分からなくても、気になれば掘り下げる。だから、一見無駄と思われることも平気でやる。果実を探す行為自体に意味を見出しているし、楽しんでいるのです。なぜ、それができるかというと、探究心でしょう。仕事を利用して、自分の探究心を満たせる人なのです。

わかりやすい例があります。プロジェクトにはたいてい”ディレクター”という立場の人がいますが、ここはよくイエスマンの温床になっていると私は思います。

ディレクター業務とは本来は単なる伝言係、カレンダー係ではありません。ディレクションとは、プロジェクトの目的をきちんと理解し、そこを一番の大前提に置いた上で、どう目的を遂行するのがベストか、あるいは目的にたどり着くまでの内容に問える人がやるべき業務です。一度上がってきた構想をどう練り上げればより良いものになるのかを俯瞰して考えるわけですね。

細かい変更指示や実行可能性を突き詰めて考えなければいけません。一度、プロトタイプを作ってみて、自分が「違う」と思えばやり直す必要も出てくるし、どうやり直すのかも考えなければいけない。それは果実を探す行為でもあります。自分では直接的にモノづくりに参加しないかもしれませんが、中心であるべきなのです。なぜなら、クリエイターたちの力を引き出せる立場にあるからです。

Web制作の現場ではディレクターと呼ばれる立場の人がいますが、たいていは「何にも出来ない人」が据え置かれていたりします。クライアントやクリエイターからの伝言を右から左に流すだけの小回りが利くだけの人が多く、そういう人が間で関わっても何にも価値を生み出してないわけです。これがWeb業界においてのディレクター業務の大きな勘違いですね。

これもイエスマンの一種であり本質であると思います。なぜなら、イエスマンとは調整役のことだからです。

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中田俊行

大阪生まれ。株式会社デザインプラスという会社を経営しています。
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