平均年収が上がっても豊かにならない理由

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日本は平均年収が30年間ほぼ横ばいだそうです。
>> サラリーマンの平均年収「443万円」だが…30年前より〈約30万円も減った〉衝撃。働き続けても「年収が上がらず、むしろ下がる人々」に共通する“意識”

多くの人は、平均年収の毎年上昇が「善」、横ばいは「悪」と考えています。本当にそうでしょうか。平均年収が上がっても、物価上昇が起きれば実質的には変わらないんですよね。

賃金が上がれば、物価も必ず上がる。資本主義の掟です。

不動産価格が上がる、教育費が上がる、食費が上がる。
旅行の移動や宿泊費も上がるし、エンタメにかかるコストも上がる。

結局一緒ですよね。

マーケティングと情報インフラの進化によって、購買力に応じた迅速なモノ・サービスへの価格転嫁が現代では可能です。世の企業は、いかに消費者から金を多く獲るかに心血注いでいるわけだし、そこで働くサラリーマンたちも金を集める力がある人が出世していく仕組みです。

この仕組みを批判したいわけではありません。みんな日々を頑張った結果そうなっているだけで、誰が悪いという話ではありません。これが進化した貨幣経済の姿というだけなので。

日本よりも平均年収の高い先進諸外国を見ると、いかに平均年収やGDPが上昇しても国民の豊かさに比例していないかがわかります。アメリカ人やイギリス人が豊かに生活しているかよく観察してみてください。トップ数%の富裕層を除き、わりと厳しい生活をされてますよね。

アメリカ人は日本の平均年収の1.7倍くらいありますが、じゃあ1.7倍豊かに生活しているとそうでもない。大学の授業料は年間500万円ほど、賃料も都市部は東京の2倍以上、レストランの食費も約2倍。中には日本より安いものもありつつ、基準の支出は約2倍。日本のように医療保険制度が確立されていない米国人が支払う毎月の保険料も悩みの種だったりします。

進んだ資本主義世界では必ず、賃金上昇→物価上昇の流れがあるわけですが、ここには”若干のタイムラグ“が昔は存在しました。賃金が上がって物価上昇に至るまで少しの間は少しだけ使えるお金が増えたんです。ゆえに、ラグが常に存在し続ける状態(マイルドなインフレと給与上昇)を維持することで、国民は豊かになると考える古い経済学者は多い。

でも、今はどうでしょうか。タイムラグも現代では徐々に期間が縮まっているように思います。縮まるどころか、分野によっては同時、もしくは先取りで物価上昇が起きたりする。証券が典型ですね。ラグが昔より縮まった要因は、情報インフラとマーケティングがより強くなったからでしょう。

人の欲望すらもマーケティングの力で操作できますからね。

なので、いくらGDPや平均年収の数値が上がろうと、実質的に使える支出は変わらないので、国民全体の豊かさとはあまり関係ないように思います。マクロな議論をするなら、年収の平均値と中央値を近づけることの方がまだマシです。

ただ、この記事で私が言いたいのは、お金なんて稼ぐ必要ないとか、そういう話ではありません。行き過ぎた資本主義社会だからこそ、お金は必要。言いたいことは、国家全体・経済がどうとかを気にするより、自分の生活を変えることに行動を注ぐことの方が意味があるということですね。

自分の選択と行動次第でしか変えられないからです。

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中田俊行

1982年大阪生まれ。株式会社デザインプラスという会社を経営しています。
WordPressテーマTCDを運営したり、ブログやメルマガを書いたりしてます。

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