「一生働かなくていい貯金」はいくら?

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「一生働かなくて良いくらいの貯金はある。」
こう言う経営者に私は過去に複数人出会ってきました。それは特に自慢をするわけでもなく、それがひとつの安心材料であるというようなニュアンスでした。「一生働かなくて良いくらいの貯金」を目安に最低限の資産形成をしている人は経営者は多いと思います。

ですが、おそらくその貯金額は一生働かなくても食べていけるほどではないと私は考えています。

多くの経営者の「一生働かなくていい貯金」はおそらく2〜4億円前後を指しているでしょう。なぜなら、サラリーマンの生涯賃金の前後を目安にしていると思われるからです。でも、それでは足りないのです。

法人のお金は自由に使えない。

大前提として、自分が経営する法人のお金は自由に使えません。ここをごちゃまぜにして考えている経営者が多いように思います。

法人で2億(利益剰余金)、個人で1億円の計3億あるとする。すると、自由に使うには法人→個人に資産を移動していかないといけない。移転時に所得税や保険料といった高額な税金がかかります。すべて資産移転すると、税率にもよるが2億とちょっとという額しか残らない可能性がある。

利益剰余金で2億あったとしても、それは自由に使えるお金ではありません。仕事で使えるものは経費で落とせるとしても、個人の生活にかかる分は個人から捻出する必要があります。だから、個人に資産を移動した時にどれだけ残っているかを見る必要があります。

10億円?

仮に個人で3億の資産があったとして、余生が40年だとすると年間750万円が使える計算となります。年金があるとしても、足りるでしょうか。

30代、40代そこそこで3億円の資産を作るような経営者は、日々出ていくお金も大きいわけです。住居費に30−100万円、食費交際費も20−100万円。人によるけれども、少なくとも手取り500万円くらいのサラリーマンの2-3倍くらいの支出は最低でもかかっている。多い人だと20倍ほど使っている。

年間2000万円使う生活なら、40年で8億円が必要です。50年だと10億です。

生活レベルは簡単に下げられない。

じゃあ生活レベルを落とせば良いじゃないかと思うでしょう。そう簡単には落とせないのです。

20%くらいなら落とせる。でも、70%〜90%落とすことは難しいのです。生活レベルを落とせない理由は、自分自身がその生活に慣れているし、周りの人間関係もそれで成り立っているからです。

今さら公共の交通機関に乗れますか?新幹線の指定席に乗れますか?格安の家賃の部屋に引っ越せますか?一番安い卵を買えますか?
また、家族や恋人がそれで納得しますか?友人、知人にその生活を見せられますか?

電車・バスに乗れないという経営者はよく聞きますよね。新幹線もグリーン車でないと駄目だとか山手線の内側のタワマンでないと意味がないとか。そういうことを一度口にしてしまうと、一文無し寸前になるまで生活レベルを落とせないものです。

庶民感覚。

お金に余裕がある人が「庶民感覚」というと偽善的に聞こえるかもしれません。でも、資産5億10億というのは、現実には庶民です。自分は特別だと思わず、庶民の自覚を持つことは大切だなと思います。

3倍の値段の卵を買う。すべてにその感覚を当てはめていくと、生活コストは簡単に3倍になる。より高価な数十倍の値段がするものを買うこともある。それほど支出してしまえば、結局一緒じゃないですか。

本当のお金持ちというのは、どれだけ使おうが天文学的なスピードで資産が膨張していく人を指します。ビル・ゲイツやジェフ・ベゾス、あるいはユニクロの柳井さんとか。それ以外は贅沢すればしっかり資産を失う。庶民ゆえに。

私自身、20代から会社を経営して、その過程でお金を得て、「お金を使うことの楽しさ」とはなんだろうと疑問に思い、お金を使う体験に尽きこんだ時期もありました。色々な使い方を試行錯誤して。でも、結局残ったのはお金のかからない趣味ばかり。今後生活レベルを上げることはないでしょう。

結局、我々庶民は収入に合わせて生活レベルを上げていくとキリがありません。若いうちはお金を使っていくことが経験と血肉になっていきますが、一方でほどよい段階で「足るを知る」ことも重要でしょう。

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中田俊行

1982年大阪生まれ。株式会社デザインプラスという会社を経営しています。
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