お金の価値がなくなると言う人ほどお金を求めている

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「遠くない将来、お金の価値はなくなっていく」と主張する人々が最近は増えています。書店を見ていてもそういう本がズラリと並んでいます。で、彼らの主張を見てみると、なんでもこういう理由からだそうです。

  • 信用や評価が貨幣の代わりになる(評価経済の到来)
  • 衣食住にかかる経済的コストが小さくなる

お金があるから信用を得られる

私はこれらの主張についてどう思っているかというと、「わからない」です。まだ起こってない未来のことですからね。

でも、一つ言えることは「将来お金の価値はなくなっていく」と主張する人々ほどお金を強く求めているということです。論者はたくさんいますしあえて名前は出しませんけども、その主張の核となっているインフルエンサーたちもそうですし、それを信じている末端の人々もそうです。インフルエンサーたちの大半がお金をたくさん持っていて、信者たちも彼らがお金をもっている(お金を集める力がある)がゆえに信者であるという事実がそれを物語っています。実際の行動が証拠であるというわけです。

インフルエンサーたちが超貧乏だったら、何の説得力もないし、誰もついてこないでしょう。例えば、Youtubeに広告を貼るのが禁止だとして、ユーチューバーたちがみんな1円も稼いでなかったら、多くの人は相手にしないわけです。「何やってんだ、この若者たちは」となる大人が多いだろうし、ちやほやする人も今よりはたいぶ減るんじゃないかと。もちろん熱烈なファンが食べ物とか本とかを送ってくれたりもすると思います。でも、お金による引力が効かない分、存在的には日陰になることは容易に想像できます。ユーチューバーが注目されていく過程を見ていた人たちなら、冷静に考えれば真実が見えてくるはずです。そもそもお金が稼げる分野だからこそ優秀な人が集まるというもので、彼らも1円も稼げなかったら動画を上げ続けるモチベーションが続くかどうかという根本的な問題もあります。

お金の価値が小さくなるきざしが今のところ見えない

もう一つ言うと、お金の価値がなくなる流れにあると言われているのに、世界を見渡すとみんなお金を求めているわけです。別にお金を求めることが悪いと言ってるわけではないんですよ。良い悪いの話ではなく、事実としてお金がなければ何もできない。有名人だからって、シンガポールのレストランでご飯タダで食べさせてくれますか?無理ですよね。無料で提供するがメリットがレストラン側にあるなら別ですよ。例えば、ライブ配信と絡めてお店の宣伝をしてくれるとかね。でも、それって根にあるのは「お金」ですよね。

世間を見ていると、口では「お金じゃない」と言っているが実体と伴っていない。つまり、世の中を冷静に見渡す限り、お金の価値がなくなるきざしがまったく見えないのです。そもそもお金の価値をなくす必要もないし、なくなったからと言って今よりもいい社会になるとも私自身は考えてないんですけどね。もともとお金に色はないし良い悪いもないわけですが、単純に色をつけているのはお金を受け取る(遣う)当人なので、お金をどこか悪いもの、下品なものと捉えているからゆえに、元々流行りやすい土壌があったと。言い換えれば、時代や大衆から求められていたと。そういうふうにも考えられるわけです。

だから、身も蓋もないことを言ってしまうと、これは宗教であり、壮大なコメディです。お金の価値がなくなっていくという風説を流布させつつ、「嫌なことからは全部逃げればいいんだよ。君は好きなことだけやってればいいんだ。こっちにおいでよ。お布施さえ払ってくれれば、束の間の夢を味あわせてあげるから」というビジネスモデルがボコボコと生まれているわけです。

今はいろんなお金の稼ぎ方があります。昔はネットビジネスや副業と言うと、アフィリエイトやブログなど手段が限られていました。ゆえに、お金を稼げるジャンルも限られており、月に数百万円を稼ぐ人がいる一方で5000円稼ぐのも難しいという低いレベルでの二極化の状況がありました。でも、今なら例えばクラウドソーシングを使えばすぐに数万円くらいは入ってきますし、仕事のジャンルの幅も10年前とは比にはならないほど広がりました。だから、さほどスキルがない人でも時間さえ注げば、月のアルバイトくらいの報酬はもらえたりするわけです。

搾取対象がサラリーマンからフリーランサーに変わる

ただ、一般的な平均年収、サラリーマンの収入を超えるくらいになるほどには至っていません。フリーランサーの大半は食えてないし、今後もそれは変わらないでしょう。つまり、個人起業のハードルは下がった。けれども、サラリーマン時代より収入が落ちた分、よりお金を求めたり、お金の心配をする人が増えた。こうなった構造をわかりやすく説明すると、同じ仕事を正社員にやらすよりも、フリーランサーなどにアウトソーシングした方が安いからその流れの中で個人にお金が行き渡る機会が増えたと。ただそれだけなんですね。つまり、搾取対象者の労働形態が変わったに過ぎず、しかも二極化という点で格差がさらに広がることがこの現状から予想されるわけです。事実、国内における経済的格差は世界的に大きくなっている。

組織に属さずとも個人が直接収入を得られる時代が来ている。これは間違いない。でも、お布施を払っているクラスターは結局搾取階層から抜け出すことはできないというわけです。結論を言うと、オンラインサロンなんかに入って束の間の夢を見てる時間があるなら、目の前にもっとやるべきことがあるだろうということです。でも、こういうことを言うとやっぱり老害って言われちゃうっていうね。

あんなしょうもない言説に踊らされるよりも、良いモノをつくろうと日々モノづくりに勤しんでいた方が平穏だし、彼らとはまったく異なる文脈で仕事に向き合う方がお金に対する価値観も働き方も収入構造も変わる。その為にはそれが実現できる力が決定的に重要です。やる気はあっても何もできないでは話にならないからです。その為に行動を起こし、日々自分の身体を通して自身と向き合う。その繰り返しが人生だと思いますし、決して平坦な道ばかりではないにしろ、他が見えないくらい自分の道に集中している時間は幸せなものです。

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中田俊行

大阪生まれ。株式会社デザインプラス代表。WordPressテーマTCD・フォトストックサービス「マルシェ」シリーズなどを運営。

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