ベーシックインカムを導入すると人の生き方はどう変わるのか

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巷ではもう随分前から「ベーシックインカム」の議論が交わされています。初めて聞いた時は突飛なことを言い出すものだと思っていたんですが、最近は時代が求めているのではないかと思わなくもありません。ベーシックインカムの是非は個人的にはどちらでも良いと思っています。自分がベーシックインカムを貰えるかとうかというのは正直どちらでも良いからです。

ただ、ベーシックインカムが導入された時、社会がどうなるのかには興味があります。実現してほしいという意味ではありません。毎月定額で最低限の暮らしができる社会システムが確立されると、人はどういう行動をとるのかに興味があるからです。政治や経済、お金ではなく、あくまでも興味の対象は人間です。というわけで、ベーシックインカムが実現された時の思考シュミレーションをしてみたいと思います。

ベーシックインカムが実現すると、一般的には貧困・犯罪率の低下や生活向上、仕事の選択肢の幅が広がるといったメリットが挙げられますね。また、デメリットとしては導入とともに社会保障システムがなくなるので、自己責任社会が確立されてしまうという声もあります。デメリットの部分はたぶんそうなるんでしょうけど、メリットについては実際にそうなるかはやってみないと分からないんじゃないかというのが私の正直な感想です。それ以前に、あんまりそこらへんは興味がないです。

・ベーシックインカムが日本で導入されたらどうなるかを考えてみよう
https://zangyohiroba.com/labor-problems/basic-income.html

私が興味があるのは、仕事を通じて人の役に立つ喜びを失った人が、代わりにどういう手段で喜びを感じるのかということです。

今、仕事というのは「やらなければいけないもの」「生活の為に仕方なくやるもの」というのが一般的です。もちろんそうでない人もいるんですが、少数派なわけです。生活の為に嫌々やるものであれば、ベーシックインカムが成立すれば辞めてしまうことにおそらくなります。

また、給付額が仮に月8万円だとすると最低限の生活しかできないので、満足できない人はより良い生活を求めて仕事を継続するはずです。とは言え、8万円というインカムの土台があれば、今まで通りの量をやるかどうかはわかりません。シフトを減らしたり、収入が下がってもより良い条件の仕事を選ぶ人も増えてくるかもしれません。

そうなると社会はどうなるかというと、人気のない仕事は人件費が高騰し、人も集めにくい状況になるということですね。そうなれば、急速に機械化が浸透していくと思われます。飲食店だったら決済がテーブル上のタブレットで先にやっちゃって、食べ物は回転寿司みたいなレーンで運ばれてきたり。あるいはセルフで取りに行くみたいな。食事を作る人もあんまりいらなくなって、機械が作ってたり既に調理されたものを解凍するだけだったり。一方でスタッフがいる飲食店も残ると思うんですけど。

機械が生産する供給量が今以上に増えいくでしょうし、エネルギーや流通なども含めた生産にかかるコストもきっと下がっていくことでしょう。

企業側としてはベーシックインカムが実現して、人件費が高騰する前に対処しておきたい問題ですよね。すでに起こってからでは時既に遅しとなる可能性が高いからです。その準備は今からやっておかなくてはいけない。

一方で仕事を精力的にやる人も一部に残り続ける。「やりたいからやる」という属性の人ですね。イチローやカズみたいなヒーローはいつの時代でも出てくると思うんです。彼らはお金も欲しいかもしれないんだけど、それ以上に仕事を通じて何かを生み出したい、自分を知りたいといった人々です。この両者に結構な断絶が起きると思うんですね。その断絶の正体は「生き様」ですね。今までは働きたくない人も奮起して働いていたし、比較的似た生き方をしていた分、情報や関係性の交流があったわけですが、そこらへんはどうなるんでしょうかね。

少なくとも「働きたくない」属性の人たちは、仕事を通じた問題対処であったり、自分の壁や限界に挑戦するとかそういった汗臭いことには関係がなくなるわけで、そういうことに興味を示したり触れる機会もなくなるでしょう。そうなると何のために生きているのかっていう問題にぶつかりませんかね。

人は、これまで飢えや自然の恩恵・驚異と共存してきたわけです。そうした環境の中で仕事というものをやってきた。仕事という生きる手段が、例えば魅力的な女性と生きようとする手段でもあったり、文化を生み出す原動力だったりもしたわけです。そうした生き方に人は苦しみを感じつつも生き甲斐としていた。

ただ、飢えや自然の驚異といったものから解放されればどうなるのか。何もしなくても生きられる状況に近づいていけばどうなるのか。私の中ではざっくりとイメージはあるんですが、あまり書きたくはないですね。SF小説として出版でもしましょうか。ただ、こういう時代だからこそ仕事から目を逸らすのでも蓋をして我慢し続けるのでもなく、向き合うことが大事なのではないでしょうか。

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中田俊行

1982年大阪生まれ。株式会社デザインプラスという会社を経営しています。
WordPressテーマTCDを運営したり、ブログやメルマガを書いたりしてます。

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