信用経済は本当に来るのか?

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最近、巷でよく聞くようになった「評価経済」という言葉。「信用経済」とも言うらしいです。昨今流行っている「オンラインサロン」の先駆者でもある岡田斗司夫さんが恐らく最初に(?)提唱した概念のようですが、今では色んなところで耳にするようになりました。ちょっと前に流行ったタイムバンクの佐藤航陽さんが書いた「お金2.0」という本でも評価経済という言葉がよく出てきていましたね。

評価経済というのは何かと言うと、人の評価を元にモノやサービスやお金が取引される社会ということのようです。お金を介してモノやサービスが取引されていた貨幣経済との対比で出てくることが多いですが、岡田斗司夫さんは評価経済になったからと言って、貨幣経済がなくなるわけではないとも言っていますね。

で、これからの時代、本当にこの評価経済に移行していくのかという話なんですが、結論から言うと何も変わらないでしょうね。評価でモノ、サービス、お金が取引されると言いますけど、これは別に今に始まったことではないですしね。評価・信用というのは今も昔も大事な指標ですよ。確かにツイッターでフォロワー100万人いる人がタダ飯、タダ酒にありつくことは可能かもしれない。でも、それって昔の有名人でも同じことできるんじゃない?ということなんです。だから、昔も今もこれからも別に変わらないという話なのです。

そして、もっと根本的なことを言いますと、信用がお金を生むのではなく、お金が信用を生むことの方が多いことです。つまり、お金を持っているからこの人は信用できると。銀行を例に出すと分かりやすいんですが、お金を持っているからお金を貸してくれるわけでしょ。この人は返済能力もあるし、バックレる確率も低いと。経営者でも事業がうまくいっている時は人が集まってくるんですが、傾き出すと途端に人が離れていく。同時に発言力も影響力も失う。

この「お金があるから信用が生まれる」という社会構造がある限り、評価経済という概念は成立しないわけです。単なる言葉遊びにしかならないんですね。

じゃあ、なぜこんな言葉遊びをネット上の著名人たちがやっているのか。それは自分たちにとって都合がいいから、という可能性が大いにあることに注意が必要です。フォロワーが何十万、何百万人いる人やタイムバンクやVALUといった評価経済を前提として作られたウェブサービスを運営したり、そうしたスタートアップに投資している人たちは評価経済が来ることを望みますよね。

もっと卑近な例を出すと、「これからはお金よりも信用の方が大事です」と言って、自分のオンラインサロンでお金を払わせながらタダ働きさせたい、とかね。これってどう見てもおかしな話なんですね。「(タダ働きであろうと)信用を積み重ねたら、お金は後から付いてくる」ということなんでしょうけど、大きなサロンであれば中枢に食い込めば確かにお金は後から付いてくる。でも、それはピラミッドの中くらいからそれ以下の末端がたくさんいるから成立する話でもある。ねずみ講に近いピラミッド構造がそれを可能にしているわけです。

いや、別にいいんですよ。その人のファンだからエンターテイメントとして割り切って入ってるとかなら。コンテンツを消費させてもらう対価を払っているのと同じですから。でも、お金は後から付いてくると言ってサロン内で頑張ってタダ働きする時間があるなら、自分でサイトやウェブサービスを作って動き出した方がいいわけです。その方がずっと経験も積めるし、意味のあるタダ働きだと思うんですけどね。

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中田俊行

1982年大阪生まれ。株式会社デザインプラスという会社を経営しています。
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