1. ホットコーヒーに氷を入れて出してくれる
2. ホットコーヒーと氷を別にして出してくれる
3. 「アイスコーヒーはメニューにございません」と言われる。
1は柔軟性と人間性を感じさせる対応です。2は柔軟性・人間性に加え、頭の良さも感じさせてくれます。なぜなら、お店のルール(マニュアル)に沿った形で、かつお客の希望にも応えるというフレキシブルな対応だからです。
ただ、誰かに教わることなく、それらの対応ができる人は結構珍しいんです。優秀な部類に入るんだろうと思います。なのでたいていは「3」で返ってきます。
この現象をプログラム的に考えてみると、「3」になる理由はプログラムに書かれてないからです。お店側が研修やマニュアルでメニューにないものを注文された時の対応は「3」で統一するようにスタッフに教育(プログラム)している。だから、条件分岐で「no」と返しただけなのです。
でも、アイスコーヒーが飲みたいんですよね。カフェを探せという話なんですが、今飲みたいんです。
次はこちらの入力の方法を変えてみましょう。例えば、「ホットコーヒーに氷入れてもらえますか?」と言い方を変えてみる。解決策を提示してみると。
3a. 「それで構わなければ大丈夫ですよ」
3b. 「申し訳ございません、そのような対応は行っておりません」
3aは人間的な対応ですね。頭が良いとは言い難いですが。
3bの場合はどうか。エラーで返ってきてますね。チェックボックス形式の選択項目しか用意してないのに、お客が勝手に項目を追加して入力してきたと。少し間違えばクレーマー認定の困ったお客なわけです。
なので、次はチェックボックス形式に沿った入力方法に戻してみます。「ホットコーヒーを氷を注文します」と。
3b’. 「かしこまりましたぁ」と笑顔で返ってくる。
氷は無料でもらえるので「No」は返ってこない。晴れてアイスコーヒーを飲めます。
最初の押し問答はなんだったのかとなりますけど、要はお客がプログラムに沿った範囲内の入力で工夫すれば、ホットコーヒーしかない店でもアイスコーヒーは飲める。本当の話なのでよければお試しください。それにしても、簡単に解決できる範囲の依頼に対してもお客が具体的な解決策を指示しないと動作しないっていうのはどうかと思いますけどね。
これが飲食店だったらオモシロ話で終われますが、人間の機械的挙動は飲食店に限らず至るところで見られるわけです。どこかの企業のカスタマーサポートや営業の人とコンタクトをとっている時も、同じ会社なのに担当者によってサービスや提案に大きく差があるのはこういうことです。
つまり、この問いは入力に対してどういう出力ができるかで、その人の頭のよさ、柔軟性、そしてクリエイティブ度が測れるということです。もっと言うと、自分の頭を使って生きてる人なのか、決まった知識・情報の中でしか動けない(思考しない)人なのか。そういう違いです。前者はどこまでも広がりがあり、後者は他者の入力(会社で言えば研修・マニュアルなど)と当人の性能が連動する特性を持つわけです。
現実的には人は機械ではなりきれないので、こんな簡単に割り切れることもなく、もっと複雑に絡み合っている事象なのですが、傾向としては人の脳は機械化しているという事例です。
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