アプリ上で物々交換は成立するか

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インターネット上の個人間取引で物々交換ができるアプリがあります。

例えば、「モノ払い」というアプリ。これは個人間取引でも使えますが、クレジットカードやコンビニ決済のように「モノ払い」に対応しているECサイトだとモノを売ることでサービスを享受できるという特徴もあります。「エアトリ」なんかはモノ払いできるようですね。ビジネスモデル的には物々交換を決済手段のインフラとして定着させる為のサービスだろうと思います。

そこはひとまず置いといて、今回は見知らぬ間柄同士のインターネット上でwinwinとなる物々交換が成立するのかというお話。

物々交換は田舎に行けば、まだ残っている風習です。ご近所同士の漁師と農家が魚と野菜を交換するように、これらの物々交換は人間関係がまずありきの上で行われます。つまり、互いに信用がある関係性で成り立つと言えます。なぜなら、虫に中心を食われたキャベツをあげるような人とは交換したくないからです。現代で残っている物々交換の風習は、互いに喜んでもらいたいという気持ちがあるという前提で良い関係が続いているというわけです。

では、見知らぬ者同士が取引するインターネット上ではどうかというと、そうもいきません。少しでも得したいと考えるのが人の性ですし、何かしらの監視やペナルティーを用意しなければ、ゴミを送るような悪質なユーザーが出てきてもおかしくありません。というか、絶対にそうなるでしょう。つまり、見知らぬ者同士の物々交換は成立はするが、良い関係性を続けるには至らないと言えます。

では、どういう監視やペナルティーを課せば、winwinな物々交換が成立するかという話ですが、方法は色々あります。ユーザーを評価、レビューし合う仕組みにしてみたり、アカウント削除や罰金、返金などのペナルティーを設ける。ただ、これをどこまでアプリ側で自動化し、ペナルティーを効果的なレベルまで引き上げられるという問題があります。現実には難しいんじゃないかと思います。なぜなら、効果的なペナルティーを課すにはアカウント自体に価値がなければいけないからです。

なので、実際にはインターネット上では基本的に成立し得ない物々交換という決済手段をどう浸透させていくか、というところに人類の叡智は向かわないような気がします。「モノ払い」を運営する光本勇介氏は「性善説に基づいて事業をしてきた」と述べていますが、性善説・性悪説によってに変動する数値は重要ではないと言っているわけです。なぜなら、そこがメインのキャッシュポイントではないからです。

先の「エアトリ」のように「お金がないなら、モノを売って決済しましょう」というようになっていくと。そういう「貧テック」路線の流れでしょうね。見知らぬ者同士がwinwinな物々交換を実現できる未来より、まずはお金のない層がモノやサービスが買えるようにするための決済手段として活用されていく未来の方が現実的です。素敵な未来かどうかは置いといて。

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中田俊行

1982年大阪生まれ。株式会社デザインプラスという会社を経営しています。
WordPressテーマTCDを運営したり、ブログやメルマガを書いたりしてます。

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