他では語られないクラウドファンディングの本質的な話をします。

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最近はクラウドファンディングで資金を集めることが流行っていますよね。

やりたいことを表明して、それに共感した人たちが資金を提供すると。理念としてはおもしろい仕組みだし賛同はしていますが、サービスの裏側というか本質について深く語っている記事がないので、今回はそれについて語っておこうかなと。それではいきましょうか。

どんなプロジェクトが資金を集めやすいか

クラウドファンディングは私的な支援の形です。政府がやってる補助金みたいに条件さえ満たせば公平に分配される性質のものではありません。個々人が”気に入ったもの”に支援するので、いかに注目や共感を集めるかが資金を集める鍵となります。だから、誰(どんな人)がやってるか、何をやるか、見返りに何を提供するかが重要になる。

まず、「誰がやるか」ですが、当然と言えば当然なのですが有名人が有利です。また、女性や若い人も比較的有利と言えるでしょう。すでに名のある著名人は資金を集めやすく、何も持たないオジサンがやっても資金は集まりにくいわけです。誰がやるかは案外重要なんです。

次に、「何をやるか」。これは公共性と時代性を帯びているプロジェクトであるかが重要です。主催者個人やチームだけの利益だけでなく、公共性と時代性があるか。例えば、地域創生、地域密着型の案件なら時代性も公共性も両方揃っているので資金を集めやすい。田舎の山奥に誰でも無料で使える会員制のコミュニティの場をつくりたい、といった案件は優良案件なのです。

さらに、「見返りをどうするか」。クラウドファンディングと寄付との違いは商取引であることです。例えば、さっきの山奥の会員制コミュニティの話なら、1万円で1年間の会員権を提供します、みたいな感じですね。案件によっては予約販売しているとも捉えられます。なので、見返りは商品なので、商品の魅力が重要になってくるわけです。

実質的には販売+寄付金集めのミックス

クラウドファンディングは実質的には商取引であり、プラットフォーム上で商品を販売しているだけなんですが、ただまるっきり同じかというと少しニュアンスが違います。ここがクラウドファンディングを利用する最大のメリットとも言えます。

販売というと、商品を提供した代わりに適正な代金を得る行為です。だから一般的な商売は、商品価値と販売価格がおおむねイーブンであることが重要になってくるわけです。だけど、クラウドファンディングは販売と寄付が混ざったような性質があるわけです。資金提供者は見返りを求めるんだけど、見返りが提供した資金と釣り合いが取れているかはそこまでシビアに見ない。例えば、有名人と1分だけ話せる権利が5,000円で売られていたら普通は高いと感じるのに、クラウドファンディングを通すと高いと感じにくい、みたいなところです。要するに一般的な価格に上乗せして売れるのがクラウドファンディングのメリットです。

クラウドファンディングを積極的に活用する有名人も当然のように熟知しているので、クラウドファンディングというプラットフォーム上で販売するか、自前で販売するかをきっちり使い分けているわけですね。なぜ、使い分ける必要があるのか。すべてクラウドファンディングでお金を得ればいいのではないかと思うでしょう。しかし、クラウドファンディングには次に説明する大きなデメリットがあるのです。

集まった資金の20%はサービス運営会社に納めるデメリットを考える

クラウドファンディングは手数料が高いです。サービス提供会社によって異なりますが、おおむね運営側に入る手数料は20%。例えば、1つの案件に3000万円の資金が集まったとします。すると、サービスの運営会社が20%のフィーとして、600万円を取ることになります。つまり、3000万の資金のうち2400万円しかプロジェクト実行者には入らないことになる。

20%というのはすごい料率なんですね。サービス運営側がやることは決済代行と案件の審査くらいなのでほとんどコストはかからないわけです。クレカや各種決済にかかる手数料と人件費を合わせても仮に手数料を10%にしても十分利益が出ると言えば分かるでしょうか。

これらの性質を踏まえた上で、クラウドファンディングで資金を集める方がメリットがあると思えば検討すればいいですし、要はどこのプラットフォームを利用するか、あるいは自前で販売力があるなら自前でやればいいですし、そういう選択肢の問題だというわけですね。

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中田俊行

大阪生まれ。株式会社デザインプラスという会社を経営しています。
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