・経団連会長“終身雇用を続けるのは難しい”
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20190419-00000276-nnn-bus_all
もう20年以上前から終身雇用システムは古いとか終わるとか言われてましたが、終身雇用システムの総本山的な人たちの親分の口からこんな言葉が出たわけです。なんとも半端な形ではありますが、これで正式に終身雇用システムの終了が宣言されたと私は解しました。ニュースを見たときは、多くのサラリーマンにとっての時代の小さな転換期なんだろうなぁとしみじみと感じたものです。
経団連の親分が公の場でこんなことを言うわけですから、すでに準備段階ではなく着手中なわけですし、今後仕事は派遣や契約社員、アウトーソーシング、機械に置き換わっていくことでしょう。ただ、いまだ根強く反対はあるでしょう。
なぜかというと、日本の給与システムは「生存保証型」であり、これはシステム的にという話だけでなく、思想的にも社会全体に根付いているからです。会社には社員の生存を保証する義務があり、当然施行されるべきものみたいな思想が雇用される側にあるからです。法律面でも簡単にクビにも減給にもできないのはそのためです。
生存保証給は、どれだけ働いたかとか成果を出したかではなく、生きるために必要な経費によって金額が変わってきます。だから、新卒の若手の多くは独身なので給料も安い。一方、中堅どころの社員はたいてい結婚していて子供もいる。マイホームやマイカーなんかも持ってるので、生活費のベースが高いわけです。なので、給料も高めに設定されている。
だから、めちゃくちゃ成果出せる人材でも20代というだけで低報酬だし、いてもいなくても一緒な人でもオジサンというだけで年間700万円くらい持って帰ってたりする。そんな欠陥経営に対しても20年間蓋をし続けてきただけの体力がある大企業はある意味すごいわけですが、言ってみればこれ前世代が構築した収益システムが強力でありすぎたがゆえに出来た贅沢であり、その収益システムに陰りが出てきたことの証左でしょう。「もう守れない」って言ってるってことは気づいてたけど蓋をしてたってことですからね。
超高コスト体質に成り下がった生存保証給から本当はもっと早く脱却しなければいけなかったんですが、変化することが不安なんですよね。でも、自分は変わりたくなくても時代は日々刻々と変わっていくもの。終身雇用が消えていくということは、企業にすがる生き方も今後は難しくなるということでもあります。
企業、法人組織は形としては今後も残り続けますが、中身はもっと変わっていくでしょうね。デザインプラスも株式会社として運営しているし、労働法に基づいて粛々とやってますが、実体はフリーランス集団のようなもの。「今、このプロジェクトをやりたいから力を貸してくれ」と、雰囲気的にはそういう感じですし、会社も社員の面倒見る気はさらさらない。いつどんな事業をやってるかもわからないんでね。先のことなんてわからないので、一生面倒見るなんて簡単に言えないと思います。
逆に1人1人が生きていく力があれば、それが一番いいし、自然な人間関係になると思うんですね。何かにすがるって一番ダサいですし、常に消えない不安に怯えながら生きることになる。自分に力があれば、その時その時に必要な人と何かを生み出したりして、何なりと生きていけるわけです。もちろん道はどこにいたって平坦ではないけれど、先が読める人生よりはマシでしょう。
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