老後までに2,000万円を貯めた方がいいのか

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老後の資金としておよそ2000万円が必要になる、とする金融庁の報告書で世間がざわついているようですね。楽して稼ごう系の投資とかにまた利用されるんでしょうか。

・「老後2000万円必要」 投資への関心高まる | NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190612/k10011950231000.html
・残念ながら「老後資金2000万円必要」は歴然とした現実である
https://diamond.jp/articles/-/205453
・65歳までに2,000万円を貯めるにはどうしたらいいか?
https://news.yahoo.co.jp/byline/rickmasuzawa/20190612-00129781/

この「2000万円」というのは95歳まで生きると仮定したもののようで、年金だけだと収支が約54,000円/月の赤字になるからざっくり計算して2000万円とのことです。なので、理屈上は「2000万円必要」という結論も正しいと思われます。

ただ、この考え方は単に理屈上の話で、実際に貯めなければいけないかというとそうではないわけです。というより、「いくら必要か」の議論自体、無意味です。なぜなら、まだ起こってもない未来を考えてもしょうがないからです。

老後の資金を貯めるために時間や意識を注ぐとどうなるか。人生のスケールが自ずと小さくなっていきます。その枠の中で思考するようになるからです。要するに「囚われる」ということです。

「老後資金2000万円必要」というのも一種の囚われなんですね。この囚われが視野を狭めていくのです。この場合だと「貯蓄」「節約」「老後」などといったキーワードに足を引っ張られてしまう。行動のスケールもその範囲内に収まってしまうので、人生そのものが”その周辺”で落ち着いていくことになる。ほとんどの人には言ってることがわからないと思いますが。

一つ具体例を出しましょうか。2000万円を40年で割るとざっくり年間50万円を貯蓄する計算になります。年収が300-700万円くらいとしたら、そこから50万円を捻出するのは独身の実家暮らしとかを省くとそれほど余裕があるわけではないわけです。実際は色んなところで値札と相談しつつ、我慢を伴う節約をする機会が50万円増える。起きてないことに備えるために、純粋な欲求を50万円分抑えこむわけです。

でも、まだ見ぬ未来に対して備えるのは老後だけじゃないですよね。子供の教育費や各種保険というように色々あるわけでしょう。そうなると、それなりに給与をもらっていても、純粋な欲求を満たすために使える資金は限りなく少ない。貯金は着実に増えているのに満たされない状況というのでしょうか。

また別の角度から見てみましょう。例えば、「定期的に海外へ行く」という海外大好きな人がいたとして、そういう人の中には国内にいるほとんどの時間は血を滲むような節約だったり我慢をしてたりするでしょう。その時、日常をどう過ごすかという問題があって、それなりに楽しくやれているならいいですが、普段生きづらさを感じている分、海外が楽園のように感じていたりする人も少なくないわけです。逆というか、場所にとらわれずどこにいても快適に過ごしている自分になったほうがいいと思うんですが。別に日本だろうと日本以外だろうと根本的には同じですから。そりゃ、生活をしない旅先はいいモノしか目に入らないですよ。

でも、それって色んなことに囚われ、日常的に自分で自分を抑制しているから起こることです。海外へ行くと文化も常識も違うから、日頃自分で自分に課している制限が取っ払われた開放感があるというだけの話です。裏を返せば、海外で開放感を感じるなら日常で抑制しているということです。要するに自分が原因なんです。

老後資金のことも似たような話で、勝手に老後までに2000万円を貯めないといけないと思いこんでいる。そういう囚われた狭い思考が自分自身を抑制してしまう。別に誰かに強制されたわけではなく、自分で選択しているのです。そういう「囚われ」をどんどん増やして、自分を苦しいところへ押し込んでいく。それを他人や社会のせいにするようになると、隣の芝は青く見えてしまう。要するに、逃避ですね。

「〜しなければいけない」という思い込みを取っ払う

とは言え、計算上は年金だけでは54,000円の赤字になるし、生きていけないじゃないかというのは理屈上は分かります。理屈上は。でも、本当に自分の人生が理屈通りに動きますか。時代も環境も変われば、自分だって変わっていくわけです。動くんだったら動くで、寂しくないですか。予想できる範囲の人生ですよね。色んなことに囚われるということは、まさにそこへ向かおうとしているのです。

「アリとキリギリス」の童話で言えば、アリは冬を越せるけどキリギリスは飢えてしまう。多くの人は、こうした考え方を持っているし、囚われているわけですよね。でも、キリギリスのように大好きな歌で生活してもいいわけですし、やり方はなんだってあるじゃないですか。枠の範囲内で行動する必要はないわけです。

「1日3食食べなければいけない」というのも思い込みですよね。逆に「1日1食が一番身体にいい」と言う人がいますが、これも思い込みの可能性があります。どこかの本に書いてあった理屈で納得しているという時点で囚われています。実際のところは何食が身体にいいのかは分からないわけです。

3食食べたいときもあれば、1食で足りる時もある。その時に食べたいと思ったものを食べる。直感に従って行動することが自分を大切にするという意味では正解です。むしろ、この「〜しなければいけない」という囚われを減らしていけば、いつもフラットでいられるし、楽なんです。それが仕事をする時でもモノづくりでも自ずと反映されていく。

モノづくりでも、その時最高なものを作ろうと思ったら、何かに囚われることは邪魔でしかありません。これまでの営為を積み重ねて資産にしていくことも大事ですが、時にはそれを壊していかないといけないこともある。壊していかないと新しいものは生まれてこないからです。クリエイターとして生涯現役でいる為には「囚われないこころ」は必須です。

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中田俊行

1982年大阪生まれ。株式会社デザインプラスという会社を経営しています。
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