シンガポールという国の光と影

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一つの国を理解する時、たった一側面だけを見て理解した気になる人は多いです。どんな国にも必ず光と影の側面があります。

たとえば、「シンガポールは琵琶湖くらいの面積しかないのに、金融・貿易・観光で世界をリードしている。日本も見習わなくては。」と訳知り顔な人は多い。

何を見習えば良いのか私にはわからないわけです。日本には金融・貿易・観光以外でも産業が豊富にあります。言ってしまえば何でも作れる国です。自動車、家電、工作機械、あらゆるものを自国で生産する技術がある。人や土地というリソースも豊か。ゲームやアニメなどのエンタメにも強い。

シンガポール人の多くは、日本人が思うほど豊かではありません。国民の8割はHDBという公営住宅に住み、義務教育も無償。国によって最低限の生活は守られています。これを豊かと捉えることは可能ですし、実際にそうです。ですが、それは一側面だけを見た印象です。

HDBの周辺の商店は、いわゆる観光地や外国人の富裕層が住むエリアとは物価も異なります。シンガポール人の生活圏内には、日本よりも安い物価で生活できる商圏が存在します。彼らにとって、外国人が住むレジデンスは夢のまた夢でもあります。

もし日本でもシンガポールのように経済特区や所得税抑制政策、英語の公用語化政策を取れば、世界中の大企業と富裕層を呼び込めます。ただ、そうなると8割の日本人が、公営住宅に住むしか選択肢がないでしょうし、高給取りの仕事は外国人が中心に担います。世界中の優秀な人材と英語で勝負することになりますから。自国民が富裕層エリアで買い物するのも難しくなるでしょう。まぁ東京23区がそれに近い形になっていますが。

これは日本人が本当に望んでいることなのか、ということですね。もしそうなら、シンガポールから学べることはたくさんあるでしょう。

シンガポールにはシンガポールにしかない環境資源や地政学的な事情ゆえ、それに見合った最大限の生き残り戦略をしている。ただそれだけです。

日本には日本の状況がある。それを活かしたやり方をするのが一番良い。これは個人に置き換えてみてもそうです。いかに自身の恵まれた状況を受け入れ、その個々の状況に合った戦略を取るのが理想です。隣の芝を羨ましがることは醜悪です。そんなのは自分にとって何のプラスにもなりません。

心も身体も豊かにしていくには、生産を通じて実際に手を動かすことしかないのです。

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中田俊行

大阪生まれ。株式会社デザインプラスという会社を経営しています。
WordPressテーマTCDを運営したり、ブログやメルマガを書いたりしてます。

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