節税は追求しても特に何も生まれないんですよね。「得した」と思ってもたいして得してないどころか、損していることすらある。本稿ではそんなお話をしていきたいと思います。
代表的な意味のない節税
積立保険
税理士が勧める税金対策の定番は、積立型の生命保険でしょう。税理士が勧める理由は、あなたが保険に加入すれば、保険会社から彼らにキックバックとして報酬が入るからです。クライアントを大事にする税理士であれば、決してこのような粗悪な金融商品は勧めません。
積立保険の特徴は、(契約条件にもよりますが)積立てた保険料の何割かが経費として計上でき、解約時に返戻金を貰えるタイプのものが多いです。
一見すると条件は良さそうですが、たいてい損します。得するためには、狭き条件を満たさなければならず、その条件は長期間の積立て+解約時に赤字決算でなければいけないという点です。また、積立期間は長期過ぎても駄目で、最適な期間で解約しなければいけません。
例えば、私が昔勧められた商品は、毎月30万円の保険料を支払い、18-22年間で解約し、なおかつ解約した期が赤字でなければ得にならない(返戻金は売上として計上されるため)という条件でした。しかし、18年後経営がどうなっているかなど分かりません。開始5年目にまとまった資金が必要となることもあるし、その時に解約したら大損となるわけです。加入する意味はほとんどありません。
期末の不要な買い物
少しでも利益を圧縮するために、期末に前倒しで経費を増やす企業は少なくありません。実際3月は企業の支出が増え、4月には減る傾向がある。
でも、「もしかしたら使うかも?」という曖昧な理由で買い物しても意味なくないですか?無用の長物になるばかりでなく、こうしたお金の使い方をしていると結果的には会社にお金は残りません。それはつまり、本当に必要なところにお金が回っていかない仕組みを自分で作り上げているということです。目先のお金に釣られちゃだめですね。
新会社設立
新会社と現会社との税制度の差分を利用した節税は、税理士から勧められる対策の1つでしょう。確かに消費税の2期免除とか、その他にも色々ある。でも、実質的にはたいした効果はないだけでなく、無駄に法人を立ち上げることによるランニングコスト(人的管理コスト含む)を考えると、メリットは薄いように思います。
「いっぱい会社を経営している俺スゴい」を地で行く社長がよく使う手ですよね。
逆に意味のある節税
レシートをとる
地味ですがこれしかないですね。350円のアイスコーヒーのレシート(領収書)もちゃんと受け取る。レシートを全てとってもたいした節税にはならないですが、積み重ねですね。
役員報酬
役員報酬の調整も法人税と所得税(時に退職金)を天秤にかけた王道の節税対策ですね。ただ、役員報酬というフリーキャッシュを増やしたいのか否かでも変わってきますので、目先の利益に囚われるのではなく、広い視野で見ていきたいですね。毎年黒字で利益が積み上がっている企業を経営しているなら特に。
スタッフへのボーナス
たくさん利益が残りそうなら、期末に事業への貢献度が高かった社員・パート・アルバイトに一時的な報酬という形でボーナスを支給するのもアリですよね。やっぱり良い仕事した人はいっぱいお金を持って帰るべきだし、こうした活きたお金の使い方が節税にもなるなら最高です。
節税より事業経営
節税も確かに大事ではありますが、対策をしても限界はあります。そして、徹底的に対策をしたとしてもたいした効果は出ない。であれば、節税はほどほどにして、売上を上げて利益を残す方にシフトした方が良いというのが私の考えです。
考え方は人それぞれ違いますが、節税に熱心すぎる社長で経営が順調に行っているところを私は見たことがありませんね。
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