もちろん素人に認められることも大事ですし、それでも売上を伸ばすことはできますが、玄人に対してもアッと唸らせる商品であれば、なお良い。玄人が認めないモノだと、早晩もっと良い商品が世に出てしまうからです。つまり、「これは勝てないな」と同業者を納得させられるかどうかは商品価値を上げていく上で1つの指標になりうるわけです。
一発芸人を見ていてもそうですよね。彼らは素人にはウケるわけですが、それ以下でも以上でもない。同業者が参考にしたいとかリスペクトするといったものでないと長続きしないのが世の常なわけです。
では、玄人にも参考にしたいと思わせるにはどうすればいいか。表面的な施策だけでは駄目なんですね。すぐに真似されますし、素人からもいずれ飽きられてしまう。表面的には真似できても真似できていない。当人が真似できたと思いこんでいても全然真似になっていない状態を作り出す必要があるわけです。そういう状態を作り出すには「言語化できない領域での差別化」が必要です。
例えば、TCDテーマのデザインは簡単に真似ることはできないわけですね。表面的には真似できても本質的には違うものになってしまう。言語化できる領域の話は簡単に真似できてしまうわけですね。つまり、教科書や本に書けるような話は誰でも真似ができるということ。それって価値があるようでないわけです。
「グラデーションはこうすれば綺麗に見えますよ」といったテクニック的な話はそれなりに役に立ちますが、それが武器になるかというとそうではない。非言語の領域をどこまで自分で掘り下げられるかという話なんですね。
もちろん、玄人だけに認められて素人から認められないのも問題です。目指すところは両者を納得させられるレベルまで商品価値を上げる努力をするということです。
ただ、ここで注意が必要なのは同業者を意識したり参考にすべきという話ではありません。最初は調査も必要かもしれませんが、進む方向性が決まったらあとは参考も模倣も必要ありません。参考にしたり模倣したりしているってことは玄人に認められるどころか素人に認められるかどうかも危ういという状況なわけですから。そもそも非言語な領域を広げるためには見るべき対象を「他」ではなく「己」であるということです。
この記事へのコメントはありません。