自動化されたシステムや機械なら、文句を言うことも仕事のムラやミスもない。しかも24時間、休むことなく稼働し続けるわけです。この面においてはどう考えても人よりも優れているので、機械化が社会の中でどんどん進んでいるわけですね。まだまだ日本の大企業なんかは無駄に仕事が多く、システム化も導入の初期コストの問題で出来てないわけですけど、技術的にはドラスティックに変革させることはすでに可能となっているわけです。
では、なぜまだ多くの企業がその方向に完全に舵を切れていないかというと、情報が行き渡っていないという問題もあるかもしれませんが、それよりも大きいのは、まだケツに火が付いていないからでしょう。まだ少しは余裕があったりするところもあるのです。
それにしても不思議ですよね。今は請求書や発注書発行などの事務的作業は人がやっていたし、それでも問題はなかった。問題ないどころか、マンパワーが必要だった時代があったわけです。だけど、今はそういった無駄が競争力を失わせる要因になっている。
なぜ価値を失う仕事があるのか
なぜ「無駄」になったか。もっというと、そうした仕事がなぜ価値を失ったのか。
すごく簡単な回答ですけど、誰か(どこかの企業)が自動化などで効率化を実現してしまうと、途端にその仕事の価値が失われてしまうわけですね。例えば、随分前からGoogleが広告代理店を介さずに広告を販売しているわけですが、そうすると広告に代理店を介在させるモデルが危うくなってくる。なぜなら、非効率だからです。よって、広告代理店やそれを利用する広告主の影響力はどんどん落ちてきている。
もし未だにGoogleやFacebookが広告代理店を介していたら覇権をとれてなかったでしょうし、広告代理店という仕事の価値は昔と変わらず残存していたかもしれません。仕事の価値はどこかが効率化を実現したら、それに伴い価値を失うということなんですが、もっと言い方を変えたいですね。どこかで仕事が効率化も含めた進化が行われた場合、他も進化が求められるということなんですよね。
自動化だけが進化ではない
だから、自動化だけが進化ではない。あえて人を介在させることで、付加価値を高められる。ただし、それには人の役に立つ必要がある。どういうことか説明するのに良い例を紹介しましょう。例えば、単純な事務作業でも下の記事にあるようなことが出来る人は付加価値を付けられるわけです。
・単純な事務作業でも付加価値を生むことはできる
https://design-plus.biz/2019/11/21/deskwork/
どこの世界にもプロはいて、もう不要だと言われている飲食店のウェイターだって残る人はいる。その人の存在によって店内が明るくなるのであれば、どの時代にも必要な人ですよね。いくら無人レストランが増えても、そういう人は残るわけです。どこで付加価値を付けるかという進化は常に考えていかないといけないことなのです。
付加価値の源泉は作り手の感情
じゃあその「付加価値」ってなんなの?ということですが、簡単に言うと「人の役にたつ」ということですよね。じゃあどうすれば人の役に立てるかというと、頭で何かを考えるより何より分かりやすいのは気持ちだと思うんですね。
例えば、TCDテーマを作るときには、ユーザーがどう感じるかをいつも考える。TCDはもう80作近く制作しているので、「制作の型」みたいなのがあるわけです。なので、人の役に立とうとか考えなくても型通りに制作を進めれば、それなりの評価は頂ける。ありがたいことです。ただ、問題はあります。役に立ちたいという気持ちがないところで仕事をしていると足元を掬われるんですね。これはもう確実に。
色んなところで手抜きが出てくるし、悪い意味での前例主義によって進化を止めることになる。それは時の流れ、自然の摂理と逆行することになる。なので、いつまでも新しいことをやりたい、驚かせたいというところは初心として持とうと意識しています。
作り手たちの感情が付加価値を生み出す源泉なわけですね。
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