ECと店舗ビジネスの収益構造の違い

Webサイトの話

ECサイトの魅力はなんと言っても、売上が青天井なこと。1サイトで売上10億、20億円も十分可能。人も場所も最小限で実現できる。

これが店舗ビジネスになると、広さの制限によって天井がだいたい決まってくる。飲食店だったら席数。どれだけ人気店でも高級店でも天井がある。さらに売上を伸ばすには店舗数拡大などの投資が必要。それに比例して固定費もついてくる。店舗ビジネスは、そこが大変なところです。

店舗ビジネスとECはまったく違った収益構造です。

店舗ビジネス: 売上 = 席数 × 回転率 × 客単価 × 営業日数
ECビジネス: 売上 = アクセス数 × CVR × 客単価

店舗ビジネスとECの収益構造の違い

ECの場合、売れた分だけ売上が上がるが、固定支出が比例して上がるわけではありません。上がり幅は、一定割合がシステムによって吸収されます。例えば、売上増加によって梱包・配送作業は増えますが、陳列・決済・商品説明といった作業は増えません。

サイトにアクセスが集中したとしても、月間50万ユーザーほどなら月2000円ほどのレンタルサーバーでも耐えられる。在庫置き場も、商材もよりますが、たいした広さは必要ありません。家具とかでしたら別ですが、小物や食料品ならさほど場所代はかからないでしょう。内装費などの初期投資もかかりません。

ECビジネスは、単価や商材にもよりますが、年商1億ほどでも1人で十分目指せる数字です。

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一方、店舗ビジネスの場合は年商1億円を目指す場合は、店舗数・面積・営業時間・人件費の拡大、あるいは単価アップといった施策が必要です。売上に比例して固定費が上がるため、1億円売り上げても利益はそれほど残っていません。

観点 店舗ビジネス ECビジネス
物理制約 ある(席数・面積・営業時間に依存) ほぼない(在庫・物流を除けば拡張しやすい)
人員依存 高い(接客・調理・現場運営が必要) 低い(自動化・外注・ツールで吸収しやすい)
1拠点あたり売上 上限あり(1店舗のキャパで頭打ち) 拠点概念が薄い(サイトは同時に多数へ販売可能)
売上を10倍にする方法 店舗数を10倍、もしくは人員・営業時間・席数を10倍に。 流入増(広告・SEO)やCVR改善で10倍が狙える。
固定費 売上にほぼ比例する。 システム化で吸収可能。
成長曲線 階段型(店舗追加ごとに段階的に伸びる) 連続曲線(施策の積み上げで連続的に伸ばしやすい)

店舗とECの売上比率を調整する

飲食店、小売、美容院などの店舗ビジネスのオーナーは、店舗からの売上に100%依存するのではなく、ECの売上比率を10%でも20%でも上げていくことが経営の安定につながります。特に今のはネットで物を買うことが当たり前になっているので、店舗の売上に依存するのはリスクです。

理想的な売上比率の一例
売上 利益
店舗 400万円 50万円
EC 100万円 50万円

もしECで店舗と同じくらいの利益が出ていれば、経営も安心です。投資に回せる額も大きくため、攻勢に転じられる。店舗ビジネスの場合、1〜3店舗くらいの間は資金もカツカツの場合が多いですが、ECを始めることでこの構造が変わる可能性があります。

店舗の強みを活かしたEC向け商品を用意する

店舗の資産(既存顧客・認知度・ブランド)を活かしたEC向け商品を用意し、それを自社のネットショップなどで販売します。

業種 商品一覧
飲食店 冷凍ミールキット、オリジナルソース・ドレッシング、焼き菓子・スイーツ通販、定期便惣菜、オンライン料理教室
美容院 サロン専売シャンプー、オリジナルヘアケア製品、スタイリング剤、オンラインカウンセリング、ヘアケア定期便
ヨガ・ピラティススタジオ オンラインレッスン、月額動画サブスク、オリジナルヨガマット、トレーニングプログラム販売、物販グッズ
学習塾・スクール オンライン講座、デジタル教材、録画授業アーカイブ、月額学習コミュニティ、模試・問題集販売
整体・治療院 セルフケア動画、姿勢改善プログラム、オリジナル健康グッズ、オンライン相談、ストレッチ教材
パーソナルジム オンラインパーソナルトレーニング、食事指導プログラム、サプリメント、トレーニングメニュー販売、定期サポートプラン
カフェ 自家焙煎コーヒー豆、ドリップバッグ、オリジナルマグカップ、スイーツ通販、定期便コーヒー

既に店舗で売上を出している方は、既存顧客も認知度もブランド価値もある状態。それらの信用を活かせるということは、完全にゼロからネットショップを立ち上げる人よりも有利な立場にあるということです。

店舗ビジネスで成功している方は、ECもスムーズに成功しやすいのです。

ネットショップはどう立ち上げるか?手段の話。

ネットショップを立ち上げるには、色んな方法があります。

集客もサポートしてくれる楽天市場やAmazonに出店。個人でもとにかく手軽に出店できるBASE。制作会社に独自ECを作ってもらう。

一番簡単なネットショップの立ち上げ手段

数ある立ち上げ方法の中でもおすすめなのは、WordPressを使って自分で作る方法です。自分でネットショップを作るというと、「大変そう」というイメージがありますが、大変なことはありません。

どこまで作り込むかにもよりますが、簡単さで言うとこれくらいのイメージです。左のBASEが一番簡単。ただ、楽天市場で出店するよりかはWordPressで自作する方が簡単です。

BASE > 制作会社 = WordPressで自作 > 楽天市場

制作会社に丸投げが一番簡単だと思いがちですが、実際には打ち合わせもあるし、相手方に正しく意向を伝えたり修正に応じてくれないストレスを抱えたり、資料提出(商品情報やキャッチコピー等)が必要だったりと、何かとコミュニケーションにかかる手間があります。それらを考えると、簡単とは言い難い側面があります。

楽天市場は、設定も操作も難しくはありませんが、デザインや見せ方にこだわるならソースコードを書ける必要があるので、そういった意味ではWordPressで自作するほうが高機能なサイトが専門知識なしに作れるのでハードルは低いです。

もちろん、WordPressでネットショップを自作するのも、WordPressの操作に慣れる必要があり、そこには学習コストが必要です。ただ、専門領域というほどのものではなく、1ヶ月もあれば十分に慣れることができます。

ネットショップの運営コスト比較

ここで主要な制作手段をコストから比較してみましょう。

主要なネットショップ作成手段の比較
制作手段 初期費用 年間総コスト
HARVES
RIKYU
約49,500円
(ドメイン・サーバー料含む)
約400,000円
(大半が決済手数料)
楽天市場 60,000円 約1,260,000円
BASE 0円 約800,000円
制作会社A(独自EC) 2,200,000円 約948,000円

※年商1200万円換算で決済手数料(2.9%)を含めた計算になっている。

楽天市場がコスト的には高いです。ただ、楽天市場の場合は広告費もここに含まれてくるため、他の制作手段より高くなるのはしょうがないです。

BASEは、初期費用も安いし、簡単に立ち上げられるのが良いです。しかし、売上が上がりだした時に固定費が重くなってきます。また、いつまでも自分のサイトにはならないデメリットもあり、移転を考えた時にもそれはそれで膨大な手間とコストがかかるため、後になって固定費を抑えようとしても、なかなか抜けられないという側面があることは覚えておきましょう。

WordPressで自作するのがなぜ良いか、という話

WordPressで自作するのが良い理由は、いくつかあります。

  1. コスト構造が圧倒的に軽い → 固定費はサーバー・ドメイン料のみ
  2. 「資産」になる → モールは「借りている土地」、WordPressは「自分の土地」
  3. スケール時に強い → モールは売上とコストが比例するが、WordPressはサーバー代が多少上がるのみ
  4. 店舗ビジネスとの相性が良い → 既存顧客を囲い込める、サブスク展開がしやすい

では、なぜみんなやらないのか?
「作るのが難しそう」「集客が心配」「サポートがないと思っている」

しかし、実際は、

  • テーマを使えば制作は難しくない
  • 集客はモールでも結局広告頼み

最初に言ったように、ECと店舗ビジネスの収益構造の違いは、固定費が売上に比例しないことです。でも、モールでネットショップを作ってしまうと、売上に比例して固定費も上がります。ECの運営メリットが薄くなるのです。

商品点数が増えて売上が上がった。そしたら固定費も上がった。そこから頑張って引っ越しするとなると、なかなかな手間も時間も費用もかかります。ドメインが変わると、マーケティング的にも一から出直しとなるリスクが有る。

簡単ではない:
売上が上がって、固定費が重くなってきた
→ WordPressに移転しよう!

短期で売上を作るならモール。
長期で利益を積み上げるならWordPressで自作する。

店舗ビジネスのネットショップは、長く運営することが前提です。WordPressで自作するの一択ですね。

大阪生まれ。株式会社デザインプラスという会社を経営しています。 WordPressテーマTCDを運営したり、ブログやメルマガを書いたりしてます。

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