つまり、保険の役割とは大きなリスクをとる際に起こりうる最悪の事態への対処です。最悪の事態に陥った時でも保険をかけておけば保険金で補填して、生き延びられます。つまり、自分では対処しきれないマイナスの事態に備えるものなのです。ここに保険の存在意義があると言えます。
ただ、現代ではどういうシーンに保険がかけられるかというと、元々の役割とはかけ離れたものが一般的です。リスクの大小に関わらず、加入すべきものという常識がそうさせているのでしょう。例えば、ファミリー世帯では「生命保険」「医療保険」「学資保険」は、銀行にお金を預けるのと同じくらい疑いなく加入している人がたくさんいます。「車両保険」も保険屋が勧めるがままのプランで加入していることがほとんどではないでしょうか。
しかし、実際にそうした保険が本当に必要かどうかはよく考えなければなりません。自分の頭で考えない人ほど、無条件に保険に加入しているケースがほとんどだからです。
先程も言ったように保険の役割は、自らリスクをとった際に起こりうる最悪の事態への対処です。リスクをとっていなければ、それ以上に大きなリスクなど起こるわけもありません。もちろん、リスクを回避し続けることで生まれるリスクもありますが、それでも大きなリスクにはなりません。平坦の中に時々「谷」があるに過ぎないのです。
そこに対して保険をかけるというのは、「ずっと平坦がいい」という願望が潜在的にあると言ってもいいでしょう。でも、人の人生はずっと平坦になるわけもなく、山もあれば谷もあります。そして、リスクをとらない人生には大きな山も谷もないので、小さな谷に対しても保険をかけるのであれば、小さな山もなくなってしまうということになります。小さな山がなくなれば、小さな谷が来た時にも狼狽してしまうような脆弱な生き方しかできないでしょう。
分かりやすい例を挙げてみましょう。ファミリー層では保険に月々3万円を支払っている家庭も珍しくありません。その3万円をもっと他のワクワクすることに遣っていたらどうでしょうか。3万円でレンタルサーバー・ドメインを借りて、お金をもっと増やすとか。ベビーシッターを雇って自分の時間を作るとか。これらの投資は人生の山を大きくすることに繋がります。山が大きくなれば、小さな谷に保険をかける必要もなくなるのです。
逆に、谷を少しでも減らそうと必死になると、山も小さくなってしまうということです。
世の中に無駄な保険はたくさんありますので、保険屋や周りの人達の意見に惑わされず、今一度自分の頭でよく考えた方がよさそうですね。ちゃんと数字を見ていれば、どちらが正しいかはすぐに見えてきますので。
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